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Sirup's Story Ep0-1 ~Every day is a special day~

 

                                                              世界は何時も輝いている

                                                            時に明るく輝き 時に暗く輝く

                                  輝くために 甘美 悲哀 勇猛 憤怒 様々な感情が世界を揺らす   

                                                         それでも世界は物語を紡ぎ続ける

 

                                           その一瞬の輝きの為にこれまでがあるのだから……

 

???「おばあちゃんたっだいま~!」

  赤毛に猫耳のついた少女が木の扉から家の中へ入ってくる

  彼女の名前はシロップ 街から少し離れた山中にある小さな小屋で年老いた老婆と二人で暮らしている 

老婆「シロップや、今日は山で何をしてきたのかい?」

  優しい微笑みと共に椅子に座ったまま問いかける

シロップ「ん~っとね、このズカンだっけ?に載ってるキノコを探して回ったんだ~」

   と、取り出したのは少し前 街に行ったときに買ってもらった図鑑だ

老婆「そうかい、そうかい でも最近山の山頂に危ない獣が出るらしいから気を付けなさいよ?」

シロップ「はーい‼」

老婆「さて、晩御飯の準備が出来たから手を洗っておいで今日はシチューだよ」

シロップ「おばあちゃんのシチュー‼ やったー!」

  そう言い足早に手を洗いに行くのだった……

 

……それから数日後の嵐が来た夕暮れ時の事

シロップ「おばあちゃん、おばあちゃん!雨と風がすごいね!」

老婆「そうだねぇ」

シロップ「あ、光った」

  ゴロゴロゴロと雷が鳴り外はかなり荒れている模様だ

老婆「そろそろ晩御飯の支度でもしようかね」

  とその時、轟音が鳴り響く

老婆・シロップ「⁉」

  そして体への衝撃と共に意識は遠退くのであった…………

 

……それから数分後

シロップ「いたたた」

  辺りを見回すシロップ、どうやら家が土砂崩れに巻き込まれたようだ

  幸いシロップは衝撃により気絶はしたものの軽いかすり傷がある程度

シロップ「おばあちゃん!?」

  自分の怪我より老婆の事が気になるシロップ

シロップ「おばあちゃーん‼ どこー‼」

  ふと背後から物音が聞こえる

シロップ「おばあちゃん‼」

  振り向くと瓦礫の下敷きになっている老婆が

シロップ「!?」

  どうやら意識はなく体からは大量の血液が流れ出しているようだ

シロップ「おばあちゃん、今助けるから」

  状況を理解し軽く涙混じりになりながらそれでも懸命に瓦礫を引っ張るシロップ

シロップ「動かないよ……」

  どれだけ引っ張っても微動だにしない瓦礫を相手に涙も本人の意思とは関係なく溢れてくる

シロップ「誰かー、助けてよー」

  勿論人が通る用な道では無いが藁をも掴む気持ちで涙混じりに叫ぶ

 

 

シロップ「……誰か……助けてよ」

  諦めかけたその時背後から足音が

???A「だ~か~ら~、こっちから声が聞こえたんだって‼」

???B「こんな所に人がいるわけないでしょ!」

  どうやら女性二人組の旅人のようだ

  全身にローブのようなレインコートを着ているため見た目はわからない

シロップ「!?  たすけて」

  涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で助けを求めるシロップ

???A「かわいい顔が台無しだよ」

  そういってハンカチでシロップの顔を拭く

???A「それで何を助ければいいの?」

  質問に対しておばあちゃんの方に指を指すシロップ

???A「わかった、お姉さんたちが何とかするから下がってて」

 

???A「でだ、イクルさんこれどうしよう?」

  どうやら片方の背の低い方はイクルと言うようだ

イクル「任せて」

  そういってレインコートを脱ぐと背に持った剣で瓦礫を斬り除いて行くではないか

イクル「こんなもんかな」

  瓦礫を全て取り除き老婆の状態を確認する

イクル「えっと、あなた名前は何て言うの?」

シロップ「…シロップ」

イクル「シロップ、この近くにお医者さんってある?」

  首を横に振るシロップ

イクル「じゃあ、包帯とかお薬はお家のどこら辺にあった?」

  指を指すシロップ、しかしそこは土砂の影響を一番受け家があったことすらもわからない状況だ

イクル「ラウトどうしよう……」

  どうやらもう一人の名前はラウトと言うらしい

ラウト「ん~」

  悩む二人、とここで

シロップ「あ、あの」

ラウト「ん、どうしたの?」

シロップ「山の頂上にこれがあるっておばあちゃんが……」

  と図鑑を取り出して見せる

ラウト「どれどれ…  えっ、これ!?」

  図鑑に載っていたのは絶滅したと言われる万病に効くキノコではないか

イクル「未だに有るとは信じがたいけど、これがあれば何とかなるかな」

  図鑑を覗きこんだイクルがいう

イクル「それじゃ、頂上まで行って…」

シロップ「待って!わ、私も連れて行って!」

  顔を拭い精一杯の声を張り上げて言う

シロップ「山の中に入るなら役に立つと思うから」

  真剣な表情のシロップ

イクル「……わかった、でも遅かったら置いてくからね」

シロップ「はい‼」

  鞄を背負い図鑑を中に入れるシロップ

イクル「おばあさんを置いていく訳にも行かないからラウトは残っておばあさんを見ておいて」

ラウト「りょうかーい」

イクル「それじゃあ行こうか」

  そして山の中に入っていくイクルとシロップ……

  薄暗い山の中雨風にさらされて進んでいく二人

  シロップは慣れた道のりをどんどんと進む

  それを後ろから着いていくイクル

  ほんの僅かの時間で頂上近くまでたどり着いた二人

シロップ「もうすぐ頂上、おばあちゃん待ってて……」

イクル「それにしても雨風の激しさが増してきてる気がするね」

 

  そして頂上の開けた場所に出るとそこには大きな翼と二つの牙を持つ巨大な生き物がいるではないか

イクル「……来る」

  その瞬間巨大な生物は此方に向かって突進をしてくる

イクル「シロップ下がって!」

  そう言って後ろにシロップを突き飛ばす

回  避には間に合わないと判断し背負っていた剣で攻撃を防ぐ

イクル「……っ」

  何とか防ぎきり後ろに後退し体制を立て直す

イクル「あなたを守って戦うのは厳しいから後で隠れてて」

シロップ「でも……」

  そう言って今度は巨大生物に斬りかかるイクル

  しかし、相手の皮膚は硬く刃が入らない

  攻撃に手こずっていると巨大生物が牙を振り回し攻撃をしてくる

  攻撃がクリーンヒットし吹き飛ぶイクル

イクル「ぐっ……」

 

  少し離れた所から戦いを見守るシロップ

シロップ「イクルさんが危ない……おばあちゃんも早く助けないと……でも……」

  自分の無力さに悲しくなるシロップ……

シロップ「何か……少しでもいいから何か出きることは……」

  藁にもすがる思いで鞄を漁る

​シロップ「あれ?これなんだろう」

  そこには入れた覚えのない紙切れが一枚

シロップ「えっと、『もしあなたが困っているときはここに書かれてある通りにしなさい』」

  疑う余地もなく文章にあるように唱える

シロップ「シフタ!!」

  するとイクルの周りに赤い光が瞬く

イクル「力がわいてくる? これならいける!!」

​  そういうと地面を蹴り渾身の一撃を放つ

  斬撃は当たり敵の大きな体が倒れ込む

イクル「っふ~、危ない危ない シロップは大丈夫?」

シロップ「問題ないけど...これ...」

  指をさした先にあったのは見るも無残な姿になった例のキノコであった

シロップ「おばあちゃん...」

イクル「まだあきらめちゃだめだよ!! 取りあえずこれだけでも持って帰ろうよ!!」

シロップ「うん...」

  そういってぐちゃぐちゃになったキノコを回収していく

​  そして下山していく二人.....

ラウト「お、帰ってきた!! おかえり~」

シロップ「おばあちゃんは!?」

  無事降りてきたシロップが問いかける

ラウト「それがさ、なんか旅の商人とか言う怪しい人が一瞬で治してくれてさ...」

  というと奥から老婆が出てくる

老婆「シロップ!! あなたは無事なのかい!?」

シロップ「おばあちゃん!? 大丈夫なの!? 無理してない!? どこか痛まない!?」

老婆「ああ、大丈夫だよ」

シロップ「おば..おばあちゃん...よかった...よかったよぉ...」

  安堵で泣き崩れるシロップ

  そしてしばらくの時間がたち 落ち着きを取り戻す一行

イクル「それであなたたちは家も崩れてしまったしどうするの?」

老婆「そうですね、山から下りてしばらく街で暮らそうかと思います」

イクル「そうですか、道中に気をつけて!」

ラウト「じゃあね~」

  そういって離れていこうとする二人

シロップ「待って!!」

  それを呼び止めるシロップ

シロップ「わ、私もつれて行って!!」

​シロップ「前街に行ったときに世界に異変が起きてるって 今回のこれもそうかもしれないし...」

シロップ「私もみんなを助けたいの!!」

イクル「確かにあの時使った不思議な力はあると嬉しいけど...危険だよ?」

シロップ「分かってる!!でも..それでも連れて行って!!」

老婆「この子は一度言い出すと中々折れない子だよ 連れて行ってくれないかね?」

イクル「ん、じゃあシロップこれからよろしく!」

シロップ「ありがとう!!」

老婆「そんじゃ、いっちょ頑張っておいで!」

シロップ「それじゃあ行ってきます!!」

  こうしてイクルとラウトの旅に加わったシロップ その旅はまだまだ続くのであった・・・

(C)SEGA PHANTASY STAR ONLINE 2

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